呼び込み上手

呼び込み上手

ターミナル駅のエキナカ、金曜日の帰宅ラッシュぐらいの時間になるとお惣菜屋さんやデリカテッセン、スィーツの店などでは最後の売り出しとばかりにお客さんに大声で呼びかけをしている。

その時間帯に帰宅することの多い私は、共働きの主婦にとっては命綱に等しい惣菜コーナーで本日の夕飯のおかずをみつくろう。

なかなか決まらず、ぐるぐる回っているうちに気がついた。

呼び込み、というのは上手な人とそうでない人がいる。

うまい呼び込みの人は、男であれ女であれ、まずタイミングがいい。「さぁ、タイムサービスだよ」「うまいよ」「100円引き!」掛け声が必ずちゃんと客というか人の流れに向かって届く。プイッと行き過ぎる人、ちらと視線を送る人、その誰と決まったわけではない「その他大勢」に向かっていながら決して人波の途切れた瞬間やぽっかりとあいた人のいない場所への「からぶり」はしない。ちゃーんと、そこを通りすぎようとしている人の列に掛け声はとんでいく。

さらに、リズムもいい。

「はいよはいよ、今日のメンチカツはチーズいり、1枚180円が2枚で300円、5枚で600円だ! え、どうだ!」みたいな長台詞も息継ぎのタイミングもよく、一本調子でありながら大事なことは強調していて(最後の5枚600円が声のピークなのだ)、ズンズン流れている人波に乗っかるように、おおいかぶさるように、なめらかに響いて行く。

でも、なめらかにすぎるということはなくて、最後の「どうだ」みたいな押しの一手がちゃんときいていて、つい、ちら、とそちらを見てしまう。

しかも、うまい呼び込みは、ちょっとでも視線があうとそこを逃さない。口上はのべながらも、目で誘惑してくる(笑)

ほら安いよ、お買い得ですよ、おいしいよ。

と、ホントに目で語ってきて、しかもそれが「特別感」を出しているのだ。つまり目があった自分は「大当たり」とこちらが思ってしまうような目ヂカラがある!

そういう人は例えば試食のトレイなんかを持っていても、差し出すのがうまく、ふと気がつくと楊枝にさしたシューマイの半分を持ってしまっており、結局食べて、それで買うことになってしまったりする。

どの店にもうまい人と下手な人がいるようで、そういことを比べながらお惣菜を選ぶのも、それはそれでまた、楽しい時間だ。

神戸の婚活パーティー

友人と政略結婚

自分は決して器量のいいほうには入りません。上中下ともしあるなら、本当に中の中だと自負しています。これほど平均的な顔もなかろう、という感じです。

友人には美人が多く、おしゃれな人もたくさんいます。よくこの人達と友達になれたなあと思うカテゴリの人もいます。見た目でなったわけではないので当たり前ですが。

それでも、一緒に歩いていてなんとなく申し訳ない気分になってしまう友人もいるのです。

モデルのようにすらっと長い足、アメ玉でも入っているんじゃないかというぐらい大きな瞳。とても活発で明るくてよくしゃべって、男女問わず人気の友人がいます。

本当にかわいくて、いつもうらやましいなあと思っているのですが、その友人とお茶をしているときのこと。実は今度お見合いをするんだという話をされてしまいました。

お見合い???彼氏だっているし、そうでなくても引く手数多の友人がなぜお見合いなのでしょう。

実は友人は、とても由緒ある老舗の一人娘さんなのです。普通に考えれば、私なんかと付き合いがあること自体考えられない、住む次元の違う人なのです。

たまたま共通の知人を通じて知り合い意気投合したのですが、お嬢様なのにとてもフランクで気取らず、お金の使い方もいたって庶民感覚なのです。

ともすれば調子に乗ってもワガママになってもおかしくない立場なのに、ご両親の躾のたまものだなあと思います。

そんな友人がお見合いをするのが、これまた超有名企業の経営者一族のご子息。一般人なら超がつく玉の輿ですが、お金持ち同士の結婚なので裏の思惑が浮かんでしまいます。

友人は昔からご子息とはお付き合いがあるらしく、嫌いな人ではないらしいのですが、やはり彼氏がいるので気は乗らないし申し訳ないと言っていました。

親の命令は絶対なので、断るかどうかはさておきとりあえずお見合いはしないといけないのです。

断る、という選択肢が本当にあるのかどうかは、微妙ではないかなと話していました。二人をくっつけることは、その他大勢の大人にとっても都合のいいことらしいです。

ドラマのような話で頭がふわーっとなってしまいましたが、本当にこういう話は世の中にあるのです。友人のなんともいえない顔が頭からはなれません。

困ったことがあったら話を聞くぐらいしかできませんが、なんとか自分の意志は貫いてほしいなと思いました。